Web2最終形態「Olive」が示した“現実”と、Web3の“その先”
銀行業界でもすでに「業務の再構築」は現実のものとなっています。
実は、3大メガバンク各社(みずほ・三井住友・三菱UFJ)は、2017年時点ですでに「合計3万人超の業務量削減」を見据えた構造改革を進めていました(参考:産経新聞 2017年11月8日)。
2023年、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、2025年度までに約7,000人分の業務量を削減する方針を打ち出しました。
その中心にあるのが「Olive(オリーヴ)」と呼ばれる統合型スマートフォンアプリです。
Oliveは、銀行口座・クレジットカード・デビットカード・ポイント・証券などを1つのアプリでまとめて管理できる、“日本版スーパーアプリ”とも呼べる存在です。
しかし重要なのは、OliveはWeb3ではなく、あくまでWeb2の延長線上にあるサービスであることです。
- データは三井住友銀行が中央管理
- ユーザーIDや認証は同行発行によるKYCベース
- ブロックチェーンやスマートコントラクトは不使用
- DID(分散型ID)や自己主権型データは存在しない
つまり、中央集権的な仕組みに基づく「Web2の最終進化形」と言えます。
それでも、7,000人分の業務が不要になる現実があるのです。
では、もしこれがWeb3で構築されていたら?
- 契約や手続きはスマートコントラクトで自動執行
- 本人確認は分散型ID(DID)で完了
- 給付や送金も中央機関なしで処理される
- データはユーザーが自己管理
Web3は、「人の業務を効率化する」のではなく、「業務そのものを消す」技術です。
Oliveですらこれほどの破壊力を持つなら、Web3スーパーアプリが本格稼働すれば、従来の雇用構造は根底から崩れることは避けられません。
社会的な備えと、制度設計の課題
よく「新しい技術が仕事を奪っても、また新しい仕事が生まれる」と言われます。
しかし、Web3やAIが生み出す新たな雇用の多くは、ブロックチェーン開発、スマートコントラクト設計、AIエンジニア、データ解析、分散ID設計など、高度な知識とスキルを持つ専門人材を前提としたものです。
一方で、社会全体にあふれる失業者がそうした職に就けるとは限りません。
むしろ、相当ハードルが高くなります。

特に中高年層にとっては、リスキリングやキャリア転換は経済的・時間的・心理的なハードルが高く、現実には対応が難しい場合が多いのです。
日本政府も「リスキリングによる成長戦略」を掲げていますが、すべての人が高度人材になれるわけではないという現実から目を背けてはなりません。
求められる人材と、社会にあふれる人材の“質的ギャップ”は埋まらず、失業リスクはむしろ拡大しています。
そこで、失業リスクが増える中、ベーシックインカム(BI)への関心が高まりつつあります。
技術的には、ステーブルコインとスマートコントラクトを組み合わせることで、完全自動化された給付制度を構築することも可能です。
実際に海外では、ドイツの「Circles UBI」やブラジル・Recife市の「自治体トークン給付」などが試験的に導入されています。
これらの事例は、制度の持続可能性と社会参加の新しい形を模索する好例です。
日本でも2025年の改正資金決済法により、ステーブルコイン発行と流通が本格解禁されました。
現在、日本政府は民間ウォレットを活用した「自動給付」や「自動課税」など、デジタル福祉の構築に向けた議論と基盤整備を本格的に進めています。
2025年5月に開催されたデジタル行財政改革会議でも、国と地方のデジタル共通基盤の運用を視野に入れた方針が示され、将来的には個人ウォレットを通じた社会保障や税制度の自動化も視野に入れられています(出典)。
🆕 Web3で奪われるなら、その“仕組みの一部”になれ
Web3とスーパーアプリによって「仕事が奪われる時代」に突入するのであれば──その仕組みに“乗る側”に回るという選択肢があります。
それが、ブロックチェーンに投資するという行動です。
たとえば、OrbitやPayFiといったスーパーアプリが使われるたびに、その基盤にあるVELOというトークンがロックされ、需給バランスが変わります。
このような設計のトークンは、使われれば使われるほど価格が上がる構造を持っています。

また、X(旧Twitter)のXmoneyも同様に、決済量が増えるほどそのエコシステム内での通貨やサービスが活性化し、それを支えるブロックチェーンの価値も高まっていきます。
つまり、ブロックチェーンに投資することは、未来の社会インフラの“株主”になるようなものです。
🔍 投資は「傍観者」から「参加者」への転換
今後、スーパーアプリが社会の標準となり、従来の仕事が減っていくのは避けられない未来です。しかし、その波にのまれるか、それとも波のうねりを作る側に回るかは、今からの選択にかかっています。
Web3インフラのトークンに投資するという行為は、単なる資産運用ではなく、
「社会の変革を支える側に立つ」
「デジタル経済の構成員になる」
という意味を持ちます。
スーパーアプリによって“便利すぎる未来”が訪れるならば──
その“便利の源泉”を自らの資産として取り込むことが、次世代の自己防衛=攻めの選択肢なのです。
まとめ:再構築される社会で、どちら側に立つか
Web3とAIの技術は、社会の利便性を高め、生活を一変させる力を持っています。
しかしそれは同時に、「これまで当たり前だった仕事」や「既存の雇用の形」を根底から再定義することを意味します。
変化は急速ではなく、じわじわと、しかし確実に進行しています。
選択を迫られるのは、「この変化に適応する側に立つのか、それとも取り残される側になるのか」。
その境界線は、「今、知っているかどうか」で分かれていくのかもしれません。