生活が「超」便利になる時代の到来と、その影
スマートフォンで送金、投資、保険、税金処理まで完了する時代が、すぐそこまで来ています。
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Web3と呼ばれる次世代のインターネット技術は、ブロックチェーンやスマートコントラクト、そしてステーブルコインといった新しい概念を使って、社会のあらゆる仕組みを「自動化」「透明化」し始めています。
そんな中、2025年5月27日、X(旧Twitter)は決済機能「Xmoney」のβ版を一部ユーザーに向けて公開しました。
これは単なる新機能ではなく、SNSが“銀行や決済プラットフォーム”としても機能する時代の幕開けを意味しています。
一見すると、誰にとっても便利で喜ばしい未来。
しかしその裏側には、「人の仕事が不要になる」大きな構造変化が静かに進行しています。
スーパーアプリとWeb3が再定義する生活のインフラ
近年、東南アジアを中心に注目を集めているのが「スーパーアプリ」と呼ばれる存在です。
OrbitやPayFiなどのアプリは、ひとつの画面の中で送金、投資、保険、給付金、納税といった機能を統合しています。
そしてSNSでも同じ流れが始まりました。Xが展開する「Xmoney」は、すでに米国41州でマネー・トランスミッター(資金移動業)ライセンスを取得済み。
今後、Visaカードとの連携によってリアル店舗での支払いにも対応する予定です。

一方、XだけでなくMeta(旧Facebook)もWeb3時代の決済構想を進めています。
2025年5月には、USDCやUSDTなどの既存ステーブルコインを活用し、FacebookやInstagram、WhatsApp内での送金やクリエイター報酬の支払いに対応する計画が報じられました。
これは、SNSそのものが銀行のような決済インフラとして機能し始めることを意味し、さらに「SNSに投稿することで報酬が得られる」というSocial to Earnモデルをより現実的なものにしています。
Xmoneyに加えて、Metaまでもがこの領域に本格参入することで、Web3が再定義する労働の形はより加速していくと考えられます。
これは「SNSが金融インフラを内包する」という構想の現実化にほかなりません。
生活のあらゆるサービスが“アプリ1つ”で完結すれば、企業の営業、事務、窓口、サポートといった多くの職種が不要になります。
自動化とAIの融合が「人の役割」を奪う
Web3の強みは「記録と実行」がセットになっている点です。
スマートコントラクトと呼ばれる仕組みを使えば、契約や支払い、手続きなどがすべて自動で処理されます。さらにAIと連携することで、審査・承認・最適化までが一瞬で完了します。
たとえば以下のような実用例がすでに始まっています。
- 不動産登記をNFT化し、所有権の移転をリアルタイム処理
- 医療保険の請求から支払いまでをAIとスマート契約で即時執行
- 税務処理をブロックチェーン上の履歴で完全自動化
この流れが本格化すれば、企業における事務職・管理職・中間層の役割は劇的に減少します。
世界経済フォーラム(WEF)の報告では、「ホワイトカラー職の最大6割がWeb3やAIによって代替可能になる」とも指摘されています。
Web3労働は「誰でも稼げる」解決策になるのか?

確かにWeb3には、「誰でもスマホ1つで稼げる」可能性があります。
代表的な稼ぎ方として、以下のようなジャンルが注目されています。
- Play to Earn(ゲームして稼ぐ)
- Learn to Earn(学んで稼ぐ)
- Quest to Earn(タスクをこなして報酬を得る)
- Social to Earn(SNSで発信して収益化)
- Work to Earn(スキルで仕事を受ける)
- Create to Earn(NFTや音楽作品を販売)
一見すると希望に満ちた世界ですが、実際の報酬は不安定かつ低額。スキルのある一部の人に収益が集中しやすい構造になっています。
Xmoneyの登場により、SNS投稿自体が収益活動となる未来も現実味を帯びていますが、ここでも「フォロワーが多い人」「影響力を持つ人」が優位に立ち、競争の激化と格差の拡大は避けられません。