【第3部】VELO:スーパーアプリOrbit・Nova Chain・Paxos提携──Web3+金融インフラの全貌

仮想通貨投資

Orbitのスーパーアプリ構想とは?

 VELOプロジェクトが展開する「Orbit」は、東南アジア市場に特化したWeb3型スーパーアプリ構想の中核をなす存在です。

これは単なる送金アプリではなく、スマホ一台で個人のあらゆる金融ニーズをまかなえる“ミニ銀行”のようなプラットフォームを目指しています。

個人金融を1つにまとめる「次世代アプリ」

Orbitの最大の特徴は、「分散された金融機能をスマホで完結させる」こと。

以下のような機能が統合されていく予定です。

  • P2P送金(USDVによる瞬時かつ低コストの送金)
  • 投資(マイクロ投資やRWA資産への投資)
  • 保険(マイクロ保険契約・請求)
  • NFTの発行・管理
  • 個人ID・信用情報の統合

これらの機能がひとつのアプリで管理できるUXは、銀行口座を持たないアンバンク層にも非常に直感的で魅力的です。

RWAとID連携による“実需”の爆発

Orbitでは将来的に、RWA(不動産、保険、教育、農業など)とID(本人確認情報、信用スコア)を連携させる構想が明言されています。

例えば・・

  • 不動産をトークン化し、ユーザーがUSDVでマイクロ投資
  • 医療保険契約をスマホで完結、スマートコントラクトで自動支払い
  • 教育ローンや農業ローンを家族単位で管理

こうした使い道の広さは、既存のDeFiやウォレットとは一線を画すものです。


Nova Chainの技術的意義|Stellarの外側に広がるWeb3拡張性

VELOはStellarブロックチェーンを基盤としながらも、その外側に「Nova Chain」という独自のEVM互換チェーンを展開することで、高い拡張性を実現しています。

EVM互換とWarp Bridgeの役割

Nova ChainはEthereum Virtual Machine(EVM)と互換性を持ち、既存のEthereum系スマートコントラクトが利用可能です。これにより、以下のような機能が期待されています。

  • StellarベースのUSDVを、EVMチェーン上でも流通可能に
  • Warp Bridgeにより、Orbit/Nova/外部チェーンをシームレスに接続
  • 複数チェーンにまたがるID管理・資産連携

これはVELO経済圏を、Stellarだけにとどめず、より広範なWeb3空間へ拡張するための技術基盤となります。

開発者にとって魅力ある基盤へ

Nova Chainは、開発者向けにSDKやインセンティブプログラムを提供し、DeFiやNFTアプリの誘致を進めています。

  • Nova上で動作する分散型取引所(DEX)
  • NFTマーケットプレイス
  • マルチチェーン対応のIDソリューション

これにより、単なる決済チェーンにとどまらない“開発可能なエコシステム”として進化しつつあります。

用語解説
  • SDK(ソフトウェア開発キット):開発者がアプリや機能を作るときに使う「部品セット」みたいなもの。これがあると、開発が簡単でスピーディーになります。
  • インセンティブプログラム:簡単に言えば「報酬制度」。アプリやサービスをNova Chain上で開発・公開すると、VELOトークンなどで報酬がもらえる仕組みです。

Paxosとの提携|利回り付き通貨USDLの導入とその意味

2025年5月、VELOはPaxos Internationalと戦略提携を発表しました。

この提携により、Paxosが発行する**利回り付きステーブルコイン「USDL(Lift Dollar)」**がVELOエコシステムに統合されました。

USDLってなに?

初心者向けにざっくり説明すると、USDLは「持っているだけで毎日ちょっとずつ利息がつくお金」です。

  • 発行元:Paxos(米国の規制下にある信頼性の高い企業)
  • 裏付け:米国債・現金など安全な資産
  • 特徴:日次で自動的に利回りがつく(銀行預金のような仕組み)

Orbitでどう使えるの?

USDLは、VELОエコシステムにおいて次のように使われます:

  • 🌱 **準備金(トレジャリーリザーブ)**として:USDVの安定性を高める裏付け資産
  • 💸 **決済手段(セトルメントアセット)**として:OrbitやPayFiなどでの支払いにも使用可能

✅ Paxosとの提携で得られる主なメリット

  • 信頼性の高い資産の導入:USDLは米国債で裏付けられており、Veloエコシステムに高品質な準備金を追加することができる。
  • 利回り付き通貨の提供:ユーザーがUSDLを保有することで、日々の利息を受け取れる。資産保全型の使い方が可能に。
  • 大手企業との連携強化:Paxosはニューヨーク州金融当局(NYDFS)の認可を受けた信頼性の高い企業。これにより、Velo側の規制対応力と信頼性が飛躍的に向上。
  • グローバルな資本アクセス:Paxosとの提携を通じて、Veloは米ドル建てステーブルコイン市場や、より広い国際金融市場との接点を拡大可能。

USDVとの違いは?

まず前提として、Orbitアプリ内での主軸通貨はUSDVです。USDLも決済などに使えますが、基本的には以下のように使い分けられます。

項目USDVUSDL
発行元Velo LabsPaxos
担保VELO(1.5倍ロック)+ RWA米国債など(利回り付き)
利息❌ なし✅ あり(毎日つく)
ガス代安い(Stellar)高め(Ethereum系)
決済◎ 日常向き△ 可能だが手数料重い

USDLは信頼性・資産運用に優れた通貨ですが、日常決済や少額送金にはUSDVの方が使いやすいというのがポイントです。


提携企業・銀行との関係性|実需を担保する布陣

VELOが他のWeb3プロジェクトと異なるのは、単なる構想だけではなく、既に強力な提携パートナーを抱えている点です。

主要な提携先・関係企業


📋 VELOの主な提携先一覧

提携先概要
CPグループ(タイ)タイ最大の複合企業。小売・通信・銀行セクターを展開。Orbitによるセブンイレブン(約15500店舗)で、決済導入が進行中。
LightnetStellar基盤の決済ネットワーク。VELOとUSDVの流通を担う。
UOB銀行 / Visa / セブン銀行UOB銀行はシンガポールに本社を置く商業銀行で、アジアを代表するリーディングバンクの一つ。UOB銀行、Visa、セブン銀行は、ステーブルコイン対応の金融ネットワーク拡充を模索中。
Xangle(韓国)韓国最大手のWeb3マーケットインテリジェンスプラットフォームを運営する企業で、Web3の普及を推進しています。Web3データインテリジェンス企業。経済カレンダー連携などで透明性と分析機能を強化。
TravalaVELOでホテル・航空券など約300万件の商品にアクセス可能なブロックチェーン旅行予約サービス。
MaiCoin(台湾)台湾の大手暗号資産取引所。VELOと提携し、コンビニ「ライフ(萊爾富)」と連携して現金で暗号資産を購入可能(※ライフ自体はVELOと未提携)。
BlackRock世界最大の資産運用会社。トークン化短期米国債ファンド「BUIDL」をUSDVの裏付け資産として統合。東南アジア向け利回り提供に貢献。
ラオス政府国家プロジェクトとして、金準備をトークン化。PTL Holdingと連携し、ラオスのデジタル経済インフラ構築を支援。

まとめ|VELOは“現実のWeb3金融インフラ”になれるか?

VELOは単なるトークンではありません。

Orbitというスーパーアプリを通じて個人金融を再構築し、Nova Chainで開発と連携の基盤を固め、実際の大企業と金融ネットワークを巻き込んで“使われる仮想通貨”へと進化しています。

次に注目されるのは、アジアを超えてアフリカ・南米市場にまで波及する“第二のステージ”

この動きが加速すれば、「使えば使うほど希少になる=価格が上がる」VELOの“自己燃焼型”モデルは、単なる構想でなく現実のエコシステムとして完成するでしょう。

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