
こんにちは、おじさんです。
「ドル崩壊」と耳にするたびにゾワッとしますが。
実はアメリカさん、ちゃっかり“次の覇権ゲーム”を始めてるんですよ。
鍵を握るのは、ステーブルコインと米国産ブロックチェーン。
今日は、その舞台裏をサクッとおじさんと一緒に覗いてみましょう♥️
ドル崩壊の足音──なぜ今、基軸通貨が揺らいでいるのか?

米国債務は“制御不能”の領域へ 💣
2025年6月現在、アメリカの連邦政府債務は約36.2兆ドルに達し、GDP比で120%超という異常な水準にまで膨らんでいます。
しかも、この莫大な借金には年間1兆ドルを超える利払いが発生しており、それ自体が新たな借金で賄われるという「利払いのための借金」状態が続いています。
この持続不可能な構造こそが、通貨としての米ドルの信認を徐々に蝕んでいるのです。
金利政策が招いた金融不安 📉
2022年からの急激な利上げによって、米国債の価格は大きく下落。
これにより、銀行や保険会社の保有資産は大きな含み損を抱えることとなりました。
2023年にはシリコンバレー銀行(SVB)やファースト・リパブリック銀行が相次いで破綻し、金利上昇 → 金融不安という悪循環が現実のものとなりました。
インフレを抑えるための政策が、結果として金融システムそのものの安定性を揺るがしているのです。
世界に広がる「脱ドル化」🌏
米ドルの信認が揺らぐなか、世界各国はドル依存からの脱却、いわゆる“脱ドル化”を加速させています。
- 🇨🇳 中国と🇷🇺ロシアは人民元による貿易決済を拡大
- 🛢 サウジアラビアは石油取引に人民元を導入する方向で調整中
- 🇧🇷 ブラジルや🇮🇷イランも、ドルを使わない決済網の構築を進行中
かつては「すべての決済はドルで」という常識が、いま世界規模で崩れつつあります。
「ジワジワ、そしてドカン」が現実になる理由🕰💥
米ドルの崩壊は、ある日突然やってくるのではなく、まずは信用がじわじわと低下していく“予兆の段階”から始まります。
しかし、一線を越えたとき──それは爆発的な信用崩壊「ドカン」として現れるのです。
この引き金になりうる最大の要因こそが、世界に張り巡らされたドル建て債務の爆発です。
世界を覆うドル建て債務という“金融爆弾”🧨
現在、世界中には数十兆ドル規模のドル建て債務が存在しています。中でも危険なのは以下の領域です。
▶ 新興国の対外ドル建て債務 🌐
国際決済銀行(BIS)によると、5.6兆ドル以上の外貨建て債務があり、その約8割が米ドル建てです。
通貨安や金利高騰によって、返済が困難となり、デフォルト(債務不履行)が連鎖する危険性を孕んでいます。
▶ 企業のドル建て借入 🏢
特に新興国市場の企業がドルで借金をしており、ドル高が進めば返済負担は急増。
結果として、企業の財務悪化 → 格付けの引き下げ → 資金調達困難 → 倒産という連鎖が発生しやすいのです。
CDS市場が警告する「信用の限界」🧾📉
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、債券などが返済されなくなった際の損失に備える「保険」のような金融商品です。
たとえば「米国債の返済が危ないかもしれない」と考える投資家が、CDSを購入してリスクヘッジを行います。
このCDSの価格(スプレッド)は、債務の信用不安を示す指標であり、急上昇は市場の警戒感を示します。
現在、CDS市場全体の未決済残高は約14兆ドルに達しており、その中でも主権国家向けのCDSは1.2兆ドル超え。
米国債に対する信認が揺らげば、これらスプレッドが一気に跳ね上がり、金融システム全体の信用コストが高騰していくことになるのです。
爆発寸前の金融システム:OTC派生商品の連鎖リスク⚠️
CDSを含むOTC(店頭取引)派生商品は、名目で25〜35兆ドルという巨大市場を形成しています。
OTCとは、証券取引所を通さずに金融機関同士が直接契約する形式の取引で、透明性に乏しく、相互保証によって密接につながっています。
そのため、一社の破綻が即座に他社への波及を引き起こす「金融連鎖崩壊(システミックリスク)」を誘発しやすいのです。
金融爆弾が連鎖的に爆発する可能性 🌪
これらのリスク要因は、以下のような負の連鎖を引き起こす可能性があります。
- 株式・債券・仮想通貨市場の同時暴落
- ドル信認の低下・ドル安
- 新興国や企業による債務返済の困難化
- CDSスプレッドの急騰(リスクプレミアム増加)
- CDS契約の履行不能
- OTC派生商品の決済不能
- インターバンク市場(銀行間貸し借り)の凍結
- 金融機関の連鎖破綻
つまりこれは、第二の世界恐慌となり得るシナリオなのです。
危機の本質は「信用の収縮」⚖️💔
ドル崩壊とは、単なる通貨価値の下落ではありません。
それは、通貨・債券・金融機関すべてに対する「信用」が一斉に縮小していく現象。
どれだけの準備資産を持っているかではなく、「誰もが相手を信用できなくなる」ことこそが最大の問題なのです。
その引火線として最も危険なのが、ドル建て債務とCDS市場である──これが、今まさに迫りつつある金融危機の“本質”です。
ドル延命のシナリオ──米国が仕掛ける「新・金融覇権戦略」

ドル崩壊を一番恐れていたのは米国自身だった
1971年、ニクソン大統領はドルと金の交換を停止し、米ドルは“実物価値の裏付け”を持たない通貨へと転換しました。
この「ニクソン・ショック」によって、米国は自国通貨の信用を唯一の基盤とする体制へと舵を切ったのです。
それは同時に──「ドルの信用が揺らぐ未来」は、米国自身が最も恐れ、想定していたリスクでもありました。
そして2025年。
アメリカはそのリスクに備えるための“延命装置”として、新たな覇権戦略を実行に移します。
それが、ステーブルコインを活用したドル支配の再構築です。
ステーブルコインは「ドルの延命装置」🧠🔋
USDCやPYUSDなどの米国発ステーブルコインは、すべてが米ドルと1:1で連動し、現金や米国債によって裏付けられています。
この仕組みが意味するのは、「通貨ドル」ではなく「トークン化されたドル」によって、世界の決済や貿易、資産保有を支配する構造です。
2025年時点で、USDCを発行するCircle社は約220億ドルの米国債を保有しており、これは国単位で見ても世界18位相当の米国債保有者。
ステーブルコインを通じて、米国は世界に「ドルの需要」を押し広げ、その信用を間接的に延命しているのです。
GENIUS法案──国家が設計するステーブルコイン覇権⚖️🇺🇸
2025年6月、米上院で可決された「GENIUS法案」は、ステーブルコインに対する国家の明確な戦略意図を示すものです。
この法案は、ステーブルコイン発行体に以下の義務を課しています。
- 発行額に見合う「現金または米国債」での1:1担保
- 月次報告と監査の義務化
- 利用者資産の優先返還ルール
- 発行規模に応じた規制(大規模発行体はFRBやOCCの監督下に)
つまり、米国債を担保として組み込むことで、ドルのデジタル進化と米国債需要の安定化を同時に達成しようとしているのです。
なお、米国は現時点で中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行には慎重な姿勢を見せており、FRBパウエル議長は「議会の承認がなければCBDCを発行しない」と明言。
結果として、GENIUS法案によりステーブルコインが“民間型CBDC”の役割を担う構図が浮き彫りとなっています。
ブロックチェーン上のドル支配構想🌐💻
これらのステーブルコインは、EthereumやSolana、Stellarといった米国発のパブリックチェーン上に展開され、グローバルな送金・決済ネットワークを形成しつつあります。
たとえば、PayPalが発行するPYUSDはEthereumとSolanaに加え、2025年にはStellarネットワークへの展開も発表されました。
さらに、VisaやMastercardとも連携が進んでいます。
これは、従来のSWIFTや中継銀行を必要としない、ブロックチェーンベースのドル支配モデルといえるでしょう。
こうして、米国は「通貨」ではなく「コードとプロトコル」で、金融覇権の再構築を進めているのです。
また、CircleのCEOジェレミー・アレール氏は「USDCはインターネット時代におけるドル経済圏のグローバル展開であり、世界標準を米国が握るチャンス」と語っています。
PayPalも「PYUSDを通じて、世界中の人々にドル経済圏を提供したい」と述べており、国家戦略の“民間実行部隊”としての自覚を明確に示しています。
ステーブルコイン発行体=米国債の買い手💸📈
USDCやPYUSDの発行体は、トークン発行の裏付けとして数十億ドル規模の米国債を市場から買い入れています。
これは、米国債にとって安定的かつ継続的な需要源の確保につながります。
つまり、
世界中でUSDCが使われる
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担保として米国債が必要になる
⏬️
CircleやPaxosが米国債を買い続ける
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米国債市場の“民間支援装置”となる
このようにして、アメリカは「民間企業を使って自国債務を支える仕組み」を構築したのです。
注目すべきは、これらの担保資産がBlackRockなどの信託機関によって運用されており、月次で監査報告が公開されている点です。
GENIUS法案によってこの透明性は法的に義務化され、“制度に裏打ちされたステーブルコイン”という新しい金融モデルが形成されつつあります。
また、米国の大手銀行(JPモルガンなど)も独自のステーブルコイン(JPM Coin)を開発・発行しており、伝統金融とトークン経済は競合ではなく補完関係に入りつつあります。
今や「米ドルが使われる経路」は、銀行口座と同様に「ブロックチェーン上のトークン」にも広がっているのです。
ステーブルコインは“次世代型・ドル支配装置”である🧬
米国は、ドルの信用が揺らぐ未来を見越して、民間のテクノロジーと制度を融合させた新しい支配構造を生み出しました。
それが、GENIUS法案に支えられたステーブルコインであり、USDCやPYUSDといったトークン化されたドルです。
この仕組みは、単なる“延命”ではなく──“再設計”された覇権モデルなのです。