Stellarは“時代の金融OS”となるか?PYUSDとXmoneyに秘められた分散化の未来

仮想通貨投資

こんにちは、おじさんです。

前回はXの裏側にStellarの影が見えてきましたね。

前回の記事を読んでない方は、コチラから👇️

今回は、そのStellarが“時代の金融OS”になりうるか?って、お話です。

続きを一緒に見ていきましょう♥️


なぜStellarなのか?──思想・設計・戦略

ビットコインが「中央銀行へのアンチテーゼ」として誕生し、Ethereumが「分散型アプリケーションの未来」を開いた中で、Stellar(XLM)はまた違う哲学から生まれました。

それは──「すべての人に金融アクセスを」という理想です。

Stellarは、途上国やアンバンクド層(銀行口座を持たない人々)にこそ、必要とされる“実用性”を第一に設計されてきました。

ここでは、なぜ今、Stellarが再評価されているのかを思想・構造・連携の観点から整理していきます。


■ 中央集権vs分散化:Stellarの中立性と信頼性

Stellarは、Rippleの共同創設者であるジェド・マケーレブ氏が2014年に立ち上げたプロジェクトです。

ただし、その性質はRippleとは大きく異なります。

Stellarを運営するのは、営利企業ではなく非営利のStellar Development Foundation(SDF)

資本投資家の影響を受けず、透明性と中立性を重んじた運営方針が世界中の信頼を集めています。

SDFは毎年、財務情報や開発ロードマップを公開。

ブロックチェーンが抱えがちな“黒幕”や“運営リスク”を極限まで排除し、「誰が運営しているのか不明」といった不安を感じさせません。

政府や企業にとって、Stellarは“信用に足る分散ネットワーク”と映っているのです


■ 金融包摂を目指すグローバル戦略(東南アジア〜アフリカ)

Stellarは「どこでも動く金融インフラ」を目指して設計されています。

最大の特徴はその軽量性と高速処理──トランザクションは数秒、手数料は0.00001XLM(数円未満)で済みます。

この特徴は特に、新興国や未銀行化地域で真価を発揮しています。

たとえばナイジェリア、ケニア、フィリピンなどでは、Stellarを活用した国際送金アプリやプリペイド型ウォレットが実用化されています。

現地通貨とステーブルコインのブリッジ役として、Stellarは既に実需の現場に根を下ろしているのです。


■ 企業や政府との連携事例(MoneyGram, UNHCRなど)

Stellarは「社会実装」において、すでに多くの成果を上げています。代表的な事例は以下のとおりです。

  • MoneyGramとの提携  → USDC on Stellarによるリアルタイム送金が可能に。銀行口座不要で現金化も対応。
  • 国連機関(UNHCR)との連携  → ウクライナ難民支援にStellarネットワークを活用。個人ウォレットに直接送金できる枠組みを構築。
  • 各国政府との対話・技術提供  → 中央銀行デジタル通貨(CBDC)や規制対応についても、SDFが技術的アドバイザーとして関与。

これらの事例は、Stellarが「絵に描いたブロックチェーン」ではなく、実際に動くインフラであることを示しています。


■ Sorobanの登場とStellarの進化

Stellarのもう一つの転換点は、2023年から導入が始まったスマートコントラクトフレームワーク「Soroban(ソロバン)」です。

従来のStellarは「スマコン非対応」というシンプルさを売りにしていましたが、金融サービスに必要な最低限のロジックを追加するために、Sorobanが誕生しました。

🔍 Sorobanの特徴:

  • WASM(WebAssembly)ベースの安全な実行環境
  • 過剰な自由度を排除し、予測可能性と安定性を確保
  • 手数料が極小で、計算処理も高速
  • NFTやギャンブル系DAppsではなく、決済や資産管理に特化

Sorobanは、Ethereumのような汎用スマコンとは違い、政府・企業が信頼できるスマートコントラクト環境を目指して設計されています。

今後、USDCやPYUSDといったステーブルコインとの組み合わせで、「条件付き送金」や「KYC/AML連動ウォレット」なども実装可能になると見られています。

簡潔に書くと、Sorobanは、Stellarに“あらかじめルールを決めた送金や操作”を組み込めるようにする仕組みで、これにより信頼性の高い自動処理が可能になるということです。


■ 他チェーン(Ethereum, Solana, Tron)との明確な違い

比較軸StellarEthereumSolanaTron
送金速度◎(数秒)△(数十秒)◎(高速)◎(高速)
手数料◎(激安)×(高騰しやすい)
スマコン環境◎(Soroban)◎(EVM)△(不安定)△(用途限定)
中立性◎(財団運営)◎(分散)△(財団主導)△(中央集権寄り)
実需志向◎(金融特化)△(汎用)△(技術志向)△(娯楽志向)

Stellarはなんでもできる万能チェーンではありません。

しかし、送金・報酬・国際金融といった実需に特化した構造を持ち、Sorobanの登場によってその機能はより拡張されています。


PYUSDとStellarの未来──米国発ステーブルコインが意味するもの

PayPalが発行する米ドル建てステーブルコイン「PYUSD(PayPal USD)」は、2023年にEthereumチェーン上で誕生しました。

その後、2024年にSolanaへの対応が発表され、2025年6月11日、ついにStellarネットワークへの展開が正式に公表されました。

これは単なる対応範囲の拡大にとどまらず、次世代の送金インフラをめぐる本格的な競争の幕開けでもあります。


■ PYUSDがStellarチェーンに対応した意味

PYUSDのStellar対応は、2025年6月にPayPalと発行元Paxosが発表したもので、現在はNY州金融当局(NYDFS)の承認待ちです。

承認されれば、StellarはUSDCに続く米ドルステーブルコインの受け入れチェーンとなり、170か国以上での流通が可能になると見られています。

Stellarが選ばれた理由は明確です。

  • 極めて低い手数料(0.00001XLM)
  • 数秒で決済完了する高速性
  • 非営利財団による中立的な運営体制
  • PayFiなどマイクロファイナンス領域での実績

この組み合わせにより、PayPalのような実需重視の企業にとって、Stellarは“使える”インフラとして認められたと言えるでしょう。


■ Solanaチェーン対応との違い

一方で、PayPalはすでに2024年5月にSolana対応を開始しています。Solanaは高性能で、特にDeFiやNFT分野に強い支持があります。

  • Solana版PYUSDの発行量はすでに3億ドル超
  • VenmoやPayPalアプリ内でEthereum、Solana間の切替機能も実装済
  • 開発者やDeFi向けにはSolanaの拡張性が魅力

とはいえ、Solanaは過去にネットワークの一時停止を何度も経験しており、長期安定運用や規制対応の観点ではStellarのほうが安心材料になると見る声もあります。


■ ステーブルコイン覇権争いの行方

現在の米ドル建てステーブルコイン市場では、以下の3つが中心となっています:

ステーブルコイン発行元主なチェーン特徴
USDTTetherTron, Ethereum 他流通量最大だが透明性に課題あり
USDCCircleEthereum, Stellar, Solana規制対応と実需のバランスが強み
PYUSDPaxos/PayPalEthereum, Solana, Stellar※商用導線が明確、Stellarは対応予定

※Stellarでの運用開始はNYDFS承認後

StellarはすでにUSDCに対応しており、今後PYUSDも正式に加われば「USDステーブルコイン決済チェーン」としての地位がさらに強化されます。


■ Xmoneyで採用されるステーブルコインの可能性

現在、X(旧Twitter)の金融構想「Xmoney」では、Stripe経由でのUSDC報酬支払いが先行導入されています。

しかし、今後の展開次第では以下のような変化が起こり得ます。

  • Stellar対応のUSDCとPYUSDがどちらも低コスト・高速
  • Xが目指す軽量・中立・非中央集権的な金融インフラとして、Stellarの思想と一致
  • PayPalとの接続性や実用性を考慮し、XmoneyがStellarチェーン採用に踏み切る可能性も現実的に

つまり、Xmoneyにおいて「USDC on Stellar」「PYUSD on Stellar」という組み合わせが、Elon Muskの描く“金融スーパーアプリ”にとって合理的な選択肢となりつつあるのです。


■ 「送金インフラ=Stellar」の現実味

Stellarは、目立つ機能をあえて持たず、見えないところで世界の資金移動を支える“金融の道路”のような存在です。

  • Sorobanでの条件付き送金や報酬管理機能
  • 実績ある連携(MoneyGram、UNHCR、Visa、Mastercard)
  • 法定通貨とステーブルコインを橋渡しする設計
  • 財団運営による透明性と持続可能性

今後、銀行口座を持たない人々にとって、PayPalやXmoney経由でPYUSDを“すぐに使える通貨”として扱える未来がやってきます。

そのとき、裏側で静かに動くStellarが“時代のインフラ”になっている可能性は、決して小さくありません。


結論──XとStellarの未来を繋ぐ点と線

イーロン・マスクが25年前に描いた「X.com」の夢──

それは単なるオンライン銀行の構想ではなく、世界共通の“金融OS”をつくるという野心的な挑戦でした。

あれから四半世紀。Twitter買収を機に再び動き出した“X構想”は、かつての夢を遥かに超えるスケールで現実味を帯びています。

そしてその裏側には、決して目立つことなく、確実に基盤を築いてきた存在──Stellar(XLM)があります。


■ Elon Muskの戦略──金融・報酬・AI・宇宙を繋ぐインフラ

Xmoneyはただのウォレット機能ではありません。

報酬支払い、投げ銭、ポイント制度、広告還元、そしてAIによる自動化された金融サービス──これらを一元化するには、従来の銀行インフラでは対応できない柔軟性と速度が求められます。

その条件を満たすブロックチェーンは限られています。

  • 超低コストでのトランザクション処理
  • グローバル対応の法定通貨ブリッジ
  • 中立で持続可能な運営構造
  • そして、AIや報酬自動化に対応するシンプルなスマートロジック(Soroban)

これらすべてを満たしているのがStellarであり、Xmoneyと思想的にも極めて近い位置にあるのです。


■ PayPalマフィアとブロックチェーン覇権構造

マスク、ピーター・ティール、デイビッド・サックス──

PayPalマフィアと呼ばれる彼らは、決済から宇宙、AI、SNSに至るまで、あらゆる領域で“分散と自律”のインフラを追い求めてきました。

Stellarの創設者ジェド・マケーレブも、彼らと同じく中央集権を嫌い、誰もが平等に使える金融ネットワークを作るという信念のもとにこのプロジェクトを立ち上げました。

今、Stellarはその設計思想と社会的実装によって、「資本主義の中心にありながら、分散を実現する」という矛盾を克服しつつあるのです。


■ Stellarは“時代のインフラ”になりうるか?

USDC、PYUSDといったステーブルコインの流通、UNHCRやMoneyGramとの連携、Mastercardによる決済対応、Sorobanによる条件付き支払い──

すでにStellarは、「金融の裏側を支える黒子」としての役割を果たし始めています

イーロン・マスクのX構想が今後Xmoney、Grok、SpaceXの支払い基盤へと発展していけば、その決済レイヤーとしてStellarが採用される未来は、ただの仮説ではなく現実的な選択肢となるでしょう。


あなたのお金は、どこへ流れるのか?

今後、あなたがSNSで稼いだ報酬、受け取る給付金、購入するデジタル商品、寄付する支援金──

それらがすべて、Stellarネットワークを経由して流通する時代がやってくるかもしれません。

そのとき、「どの通貨を使うか」ではなく、「どのインフラの上に自分のお金を置くのか」が、選ばれる基準になるのです。

XとStellar──

イーロン・マスクの野望と、黒子として育ってきた金融ネットワーク。

その2つが交差する未来が、すぐそこまで来ています。

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